建築は、大きく分けると「構造」、「造作」、「下地」および「仕上げ」からなっているといえます。
現代建築の評価は、広義の「仕上げ」に負うところが多いのが一つの特徴であります。広義の「仕上げ」とは、「建築技術」を内容とした「設計」の一端でもあり、多分に「建築材料」の本質と関わりながら、その施工技術によって決定づけられるプロセスであります。「仕上技術」として考えられているのは、いづれも「下地」を含み、「内外装」としてのウォールカヴァリング、スプレーイング、接着、シーリング等、および狭義のフィニッシングであります。いわば「設計」、「材料」、「仕上げ」の三要素が全て含まれていると言えるでしょう。
今日「建築仕上げ」は、建築生産の場において、極めて重要であるにも関わらず、その関わりの多様さのゆえにか、総括的、体系的な資料に乏しい分野となっております。
弊社は、昭和50年に故 西 忠雄博士(東京大学名誉教授)をはじめとする建築材料学者の御支援のもとで、月刊『建築仕上技術』誌(昭和50年8月創刊)を、また昭和56年には湿式建材情報を中心とする『建材流通新聞』をそれぞれ創刊致しました。同新聞は、5年後の昭和61年に月刊「建材フォーラム」雑誌に移行し、隣接する乾式分野を含む業際的情報の収集と報知に努めたのであります。さらに同61年6月には、防水研究の第一人者である小池迪夫博士(東京工業大学名誉教授)監修による防水設計の専門誌・月刊『プルーフ』を創刊し、弊社刊行の諸書籍の媒体とともに、「建築仕上界」に向け、専門情報の発信、批評そして解説を行ってまいりました。
さらに平成元年(1989年)には、当時(社)日本建築学会の会長であった内田祥哉博士(東京大学名誉教授)に組織委員長をお引き受けいただく等し、同年春にオープンした千葉・幕張メッセを会場に建築関連イベント『建築仕上フォーラム』を開催致しました。同フォーラムは、第7回開催となる平成7年より新たに『建築・都市総合技術展/BUFF』と改称し、展示会・シンポジウム・国際建築設計デザインコンペを行うなど、「建築仕上」に新視点を加えつつあります。
弊社は、現在の建築とその仕上技術に対し、さまざまな角度から批判・評価・提案を行う一方、わが国で初めて「建築の仕上げ」を主テーマに掲げた出版社としての矜持と責任を忘れず、今後も斬新かつ独創的な出版活動を続けて行く所存であります。
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