和文書籍
表面被覆材によるコンクリート構造物の長寿命化

著 者:
シェフィールド大学 名誉教授 R.N.Swamy(Ph. D)
東亞合成株式会社 谷川伸(博士(工学))
/EdIted by R.Narayan Swamy&Shin.Tanikawa

共同執筆者:
九州大学 工学部 教授 濱田秀則(博士(工学))
台湾政府道路局 技術部長 Jaw-Chang Laiw(Ph. D)
琉球大学 工学部 名誉教授 大城武(Ph. D)
/Co-Reseaches Hidenori Hamada ,Jaw-Chang Laiw,and Takeshi Oshiro

体裁:B5判・206頁、和文書籍
定価:3,080円(本体2,800円+税10%)+送料
発行:工文社






【著者のことば】

 鉄筋コンクリートは近代文明そのものです。 世に出現したのは約150年前、日本では明治になってからで、約110年の歴史しかありません。 近年、永久的と言われたコンクリート構造物の早期劣化が世界的な問題となっています。 中性化(大気中のCO2による老化)、塩害(飛来塩分による鉄筋腐食)、アルカリ骨材反応(コンクリートの癌)による劣化です。 英国での近代コンクリート構造物の歴史は深く、多くの面で世界をリードしてきました。 本書はコンクリートの世界的な権威者のお一人である、英国シェフィールド大学のSwamy教授と表面塗材による コンクリートの耐久性向上に関する共同研究を約25年に亘って研究し、その成果をまとめたものです。 日英がスクラムを組んで実験室および実環境での試験結果を集大成したもので、 これだけ長く、両国で一つの目的のために研究を続けた例は少ないのではないでしょうか。 コンクリート構造物の劣化は、セメント、骨材、養生条件、荷重、ひび割れ、経年および 厳しい自然環境条件等の相互作用で劣化が生じています。 コンクリート自体での耐久性維持は限界にきており、「包括的かつ全体的な設計戦略」を含め、 表面塗材の特性(防水、遮塩、ひび割れ追従等)を活かした耐久性向上に目が向けられてきています。 実構造物への適用事例とその経年調査結果、さらにコンクリートの耐久性の歴史に照らし合わせた 我々の研究の背景を時系列に示して、より理解を深められるようにしました。 決して使い勝手のよい教科書とは言えませんが、建設に携わる方々が本書によって有益な技術情報を得て、 コンクリートの耐久性向上に取り組んでいただければと考えます。   (谷川記)




【本書の内容】

第1編 表面被覆材の役割と特性
  1章 表面被覆材に要求される基本性能
  2章 表面被覆材の特性の比較

第2編 塩害に対する被覆の効果
  3章 コンクリート中の鉄筋の保護 ―塩水噴霧試験
  4章 鉄筋コンクリートの塩化物イオンの浸透と鉄筋腐食の防止
  5章 コンクリートの長期にわたる保護と改修 ―実地試験―
  6章 表面被覆材による塩化物イオンの浸透と鉄筋腐食の防止に関する実大試験
  7章 RCスラブ供試体を用いた塩化物イオンの浸透に関する試験
  8章 アクリルゴム系表面被覆材による塩化物イオンと中性化に対する
      コンクリートの保護効果 ―RCスラブ供試体を用いた長期試験―
  9章 塩化物イオンの浸透
      −コンクリート混和材とアクリルゴム系表面被覆材との比較検討−
 10章 海洋環境下におけるコンクリート中への塩化イオンの浸透過程
      および浸入量に関する一考察
 11章 コンクリート中の鉄筋腐食に関するモニタリングの評価

第3編 アルカリ骨材反応(ASR)に対する被覆の効果
 12章 アルカリ骨材反応(ASR)の抑制 ―表面被覆材の特性と抑制効果の比較−
 13章 アルカリ骨材反応の抑制(表面被覆材による補修の目的)
      ―既にASR膨張が始まったコンクリートに対する抑制効果―
 14章 アルカリ骨材反応の抑制(表面被覆材による構造耐力の維持、力学的観点から)
      ―持続荷重下でのASRを受けた RCはりと柱の内部応力に対する抑制効果―

第4編 総括的長寿命化設計の確立について
 15章 構造物の長寿命化に対するグローバル戦略
 16章 構造物の長寿命化のためのマネジメントと設計戦略
 17章 塩分雰囲気下の過酷環境におけるコンクリート構造物の保護
      ―耐久的な構造物建設の鍵−

付記1 表面被覆材の実構造物への適用例とその効果の実証
付記2 コンクリート耐久性の歴史的背景と共同研究の取組み(発表論文リスト)


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